司法書士の非弁行為

本人訴訟支援は弁護士法違反


司法書士の訴状等の作成が弁護士法違反として、訴訟が却下された裁判事例(富山地裁平成25 年9 月10 日判決)

 

<要約>

(1)地裁事件の訴状等について、専門的法律知識に基づいて判断し、その判断に基づいて書類を作成することは、司法書士の固有の業務範囲に含まれない。

(2)弁護士でないことを知って依頼した者は、追認することが許されず、訴訟は却下される。

 

判決内容

「いかなる趣旨内容の書類を作成すべきかを判断することは、司法書士の固有の業務範囲には含まれないと解すべきであるから、これ(訴状等)を専門的法律知識に基づいて判断し、その判断に基づいて書類を作成する場合には同条(弁護士法72条)違反となるものと解されており、民事訴訟法54条1項本文の適用範囲につき上記のとおり解釈することは、紛争の当事者からの委任を受けていかなる趣旨内容の訴訟行為を行うべきかを判断し、訴訟行為を策定する事務は弁護士の固有の業務範囲とされ、非弁護士がそのような事務を業として行うことが弁護士法72条により禁止されていることと整合的である。」

「受任者が非弁護士であることを知りながら委任した当事者については、追認が認められないことによる不利益を甘受させるのが相当である・・・したがって、受任者が非弁護士であることを知りながら委任した当事者において、同項本文違反の訴訟行為を追認しても、その訴訟行為は有効とはならないものと解するのが相当である。」(富山地裁平成25 年9 月10 日判決)

 

<参考>

「(訴状等作成の)司法書士が行う法律的判断作用は、嘱託人の嘱託内容を正確に法律的に表現し司法の運営に支障を来さないという限度で、換言すれば法律常識的な知識に基く整序的な事項に限って行われるべきもの」である。(高松高裁昭和54年6月11日判決)