社員による登記申請

社員による代理申請は司法書士法に違反しない

【要旨】

(1)会社担当者によって商業登記や不動産登記をするときは、登記申請書に担当者の部署や役職を記載することが可能である。

(2)会社担当者を代理人として登記申請をするときは、委任状に部署や役職を記載することが可能である。

(3)会社担当者が業務として申請代理や申請書作成をする行為は、司法書士法に違反しない。

 

【提案事項】会社担当者による登記申請について

 

【管理番号・提案日】290615007・平成29年5月3日

【回答日】平成29年6月15日

 

【提案の具体的内容等】

(1)商業登記申請や不動産登記申請をするときは、代表者以外の役員や従業員(以下、「担当者」という。)が書類を作成して、代表者が捺印し、法務局に提出しています。このとき、補正などの電話連絡は、担当者にしてもらいたいのですが、登記申請書の書式には、担当者名を書く欄がありません。電話連絡があったときに、法務局側で、部署や役職を含めた担当者名が分からないため、取り次ぎをするのに不便なので、改善をしていただきたいです。

 

(2)先日、法務局に相談したところ、担当者が代理人となって、代表者印の押された委任状を添付すれば、電話連絡は担当者にされると伺いました。しかし、登記申請書や委任状には、代理人の部署名や役職は記載できないとの説明を受けています。代理人として申請する場合においても、委任状などに記載できるように改善して頂きたいです。

 

(3)司法書士法によって、無資格者が登記申請書を作成することや、申請代理をすることは、業としてはいけないこととされております。上記の(1)の場合は、担当者名が申請書に書かれていないので、コンプライアンスの問題となることはありませんでした。しかし、(2)の場合は、会社の担当者であることを明記しないと、会社関係者であると把握できないことから、法務局が司法書士会に委託している事後調査によって、司法書士法違反の疑いが掛けられるおそれがあります。会社としては、そのような疑いを掛けられる前に、予防したいと考えています。一方、法務局や司法書士会としても、司法書士法違反であるかの確認を、事前にしたいと思われます。そのような観点からも、担当者欄を設ける利点があると思います。

 

【提案主体】個人

 

【所管官庁】法務省

 

【所管省庁の検討結果】

<制度の現状>

(1) 会社の代表者が商業登記及び不動産登記の申請人として登記の申請をする場合,登記の申請書の連絡先の記載箇所に,代表者以外の従業員等の担当者の部署,役職,連絡先電話番号等を記載していただいても,特に問題はありません。 なお,登記の申請書については,様式は定まっておらず,必要な事項が記載されていれば様式は問いません。法務局ホームページにおいて公開している様式・記載例は飽くまで例として掲載しているもので,同様式に代表者以外の従業員等の担当者の部署,役職,連絡先電話番号等を追記していただいても,特に問題はありません。

 

(2) 会社の代表者以外の従業員等の担当者が代理人となる場合に,委任状に担当者の方の部署,役職,連絡先電話番号等を記載していただいても,特に問題はありません。  なお,委任状については,様式は定まっておらず,必要な事項が記載されていれば様式は問いません。法務局ホームページにおいて公開している様式・記載例は飽くまで例として掲載しているもので,同様式に代理人である代表者以外の従業員等の担当者の部署,役職,連絡先電話番号等を追記していただいても,特に問題はありません。

 

(3) 上記(1)(2)のとおりです。

 

<対応の分類>

事実誤認

 

<対応の概要>

「制度の現状」に記載のとおり,登記の申請書及び委任状に担当者の部署,役職,連絡先電話番号等を追記していただいても,特に問題はありません。

 

 

【出典】 内閣府規制改革ホットライン 平成29年度分、法務省回答

リンク 規制改革ホットライン検討要請項目の現状と対応策 (cao.go.jp)